こんばんは。
サルオです。
本日はゲーサイトシトリンのブレスレットを紹介させて頂きます。
もしかしたら、商品名だけ聞くと想像されていたものと違うかも知れません。
それは僕が以前から感じ続けていた疑問と同じではないでしょうか。
その疑問とは「ゲーサイトとカコクセナイトの違いについて」です。
初めてビーズとして取り扱った時、ゲーサイトインクォーツといえば水晶に赤色の針状の内包物が入っているものでした。
その赤色の内包物はゲーサイトの同質異像鉱物のレピドクロサイトと一緒に内包しているものです。
※同質異像鉱物とは、同じ成分で結晶構造が違うために鉱物名が変わるものです。
分かりやすいく言えば下写真のカザフスタン産のストロベリクォーツやパープルルチルクォーツもゲーサイトインクォーツです。
ストロベリークォーツとパープルルチルが同じ内包物であることは想像出来ますが、今日紹介しているゲーサイトインクォーツも同じゲーサイトという鉱物が内包しているとは思えないですよね。
比較するとより分かりやすいかと思います。
水晶に内包しているものが全て同じ石?
ストロベリークォーツやパープルルチルはレピドクロサイトもしくばゲーサイトが水晶に内包したものであることは以前かか鑑別に数回出したことがあるので確認済みでした。
ということは、上の写真の一番右のタイプはゲーサイトではなく、他の鉱物が内包しているのではないか?と思うことは当たり前ですよね。
見た目が全く違いますから。。。
そこで、出てきたのがカコクセナイトという鉱物です。
このタイプのビーズやブレスレットなど「カコクセナイトインクォーツ(orインアメジストorインシトリン」として販売しているところも見かけます。
かといういう僕もこのあたりが曖昧でした。
そのためカコクセナイトという鉱物がどのようなものか調べてみました。
和名:カコクセン石
成分:(Fe,Al)25(PO4)17(OH)12O6・75H2O
硬度:3~4
色:黄褐色
とってもややこしい成分をしていますね。
ゲーサイトの成分はFeO(OH)で鉄の水酸化物、つまり鉄の水サビであるのに対して、カコクセナイトは鉄の水酸化物という部分もありますが、リン酸やアルミニウムなど他の成分も含んでいるので別物だということが分かります。
それでは、肝心のカコクセナイトの原石はどのような見た目をしているのでしょうか。
下の写真をご覧ください。
写真左上:ブラジル産・画像幅サイズ1.6mm、写真右上:スペイン産・画像幅サイズ3mm
写真左下:フランス産・画像幅サイズ4mm、写真右下:ポルトガル産・画像幅サイズ3mm
お~、これは今日紹介しているブレスレットの内包物にそっくりですね。
改めてゲーサイトインシトリンのブレスレットを見てみましょう。
やはり、カコクセナイトの原石の画像にそっくりです。
ということは、ゲーサイトではなく、カコクセナイトが正解でしょうか。
答えは否です。
カコクセナイトの原石写真の所に写真のサイズを書いておりますが、画像全体の幅でこの小ささです。
ということは、カコクセナイトの結晶自体の大きさは大きく見ても1mm。ほとんどカコクセナイトは全長1mmにも満たないでしょう。
つまり、ゲーサイトインシトリンに入っているものが、カコクセナイトだとすると、考えられないくらい大きな結晶が入っていることになります。
それに、僕よく見ている鉱物のデータベースでもブラジル・ミナスジェライス州での産出履歴はありましたが、ブラジルのリオデグランドスル州(アメジストの大産地)での産出実績は掲載されていませんでした。
そのデータベースの中にある下の写真の原石はゲーサイトインアメジストとして掲載されており、やはり、この内包物はゲーサイトだと考えられます。
ブラジル・リオデグランドスル産のゲーサイトinアメジスト
そして、今回紹介しているブレスレットは上の写真のような原石をビーズに加工したものです。
補足ですが、アメジストを加熱処理してシトリンにしております。
決定的なのか鑑別結果です。
このブレスレットを鑑別に出したところ、結果は「ゲーサイトインクォーツ」となりました。
(鑑別書は当社のデータとして保管致しますので、このブレスレットに鑑別書はつきません。恐れ入りますが、ご了承下さいませ。)
上の原石からも想像出来るように、1つのアメジストポイントから1つのビーズしか作ることが出来ませんので、なんとも贅沢なビーズですね。
また、リーズナブルなゲーサイトインクォーツのブレスレットも一緒に紹介させて頂きます。
こちらは加熱処理をしていないタイプですので、わずかにアメジストの紫色になっているのが分かりますよ。
最後までご覧頂きありがとうございました。